第5号:北京-東京便の空席にみる日中関係(相川)

北京-東京便の空席にみる日中関係(相川)

先日、北京に出張した時のこと。予約していたのが普段あまり利用しない航空会社の飛行機だったこともあって、事前に座席指定をしなかった。現在の日中関係のもと早めに空港に着いていれば、それほど不本意な座席に回されることもあるまいと甘く考えていたこともある。ところが、空港に着いてみれば、まさに早めの時間でも通路側・窓側の何れかではすでに非常口の列しか取れない状態であった。それでもさすがに通路側でも窓側でもない中間の席に回されずに済んだだけ良かったものの、乗ってみればほぼ満席であった。

尖閣諸島の国有化から1年が過ぎ、関連報道では「日中関係は冷え込んだまま」という決まり文句が繰り返された。しかし、飛行機の座席の埋まり具合をみる限り、2012年の秋には確かに関係の冷え込みを感じる空き方であったが、今年に入ってからは、そうでもなくなりつつあるように感じる。

確かに、報じられる尖閣諸島周辺海域の緊張ぶりや、両国首脳の公式会談の未実現はもちろん、北京で純粋な民間団体が日本の関係する国際会議を公然と開くのは難しくなっているとか、中国の一般人が日本を旅行しようとすると以前より手続きに時間がかかるとか、具体的な交流に関しても、目立つ部分で以前より「冷え込んだまま」の部分は残っている。しかし、それが全てではない。

日中関係について一時期「政冷経熱」という表現が流行したことに象徴されるように、政治関係と経済関係はよく注目されるが、それ以外の関係もまた存在する。そうした関係の中には、残念ながら「冷え込み」を防げるほど強くはないけれども、逆に「冷え込み」から意外なほど影響を受けずに安定している程度には強い、というものがある。うまく表現できないが、こうした関係に意味があると信じ、注目している。もとより、飛行機を満席にしたのは、こうした関係以上に、政治関係の陰で目立たなくなっている経済関係の力と考えるのが妥当なのであろうが。

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